インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンについて
2026.10.09
インフルエンザ・新型コロナワクチンの接種が始まりました
~高齢者や持病のある方に、ワクチン接種をおすすめする理由~
10月に入り、今年もインフルエンザと新型コロナウイルスのワクチン定期接種が始まりました。
「インフルエンザの予防接種は毎年受けているけれど、コロナワクチンはもう必要ないのでは?」
「新型コロナは最近あまりニュースにならないので、もう流行していないのでは?」
診察室でも、このようなお話を伺うことがあります。
確かに、新型コロナウイルス感染症は流行初期と比べると、社会生活への影響は小さくなりました。しかし、新型コロナウイルスがなくなったわけではありません。現在も感染は続いており、特に高齢者や持病のある方では、重症化や死亡につながることがあります。
今回は、インフルエンザと新型コロナウイルスの現状、ワクチン接種の必要性についてご説明します。
1.10月からワクチンの定期接種が始まりました
2026年10月から、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの今年度の定期接種が始まりました。
定期接種とは、予防接種法に基づき、市町村が実施する予防接種のことです。対象となる方は、自治体の助成を受けて接種できます。
両ワクチンの定期接種の対象者は、原則として次のとおりです。
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65歳以上の方
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60~64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に重い障害がある方、またはHIVなどによる免疫機能の重い障害がある方
定期接種の対象外の方も、希望されれば**任意接種(自費での接種)**を受けることができます。当院でも定期接種・任意接種の両方に対応しています。
接種費用や助成の内容は、お住まいの市町村によって異なりますので、詳しくは当院にお問い合わせください。
2.新型コロナウイルスは、今も多くの方が亡くなる感染症です
新型コロナウイルス感染症は、2023年5月に感染症法上の「5類感染症」へ移行しました。
そのため、以前のように毎日感染者数が大きく報道されることは少なくなりました。
しかし、5類感染症への移行は、病気がなくなったことや、重症化する危険性がなくなったことを意味するものではありません。
新型コロナウイルス感染症による死亡者数 約21,500人
65歳以上が占める割合 98%
80歳以上が占める割合 81%
出典:厚生労働省・人口動態統計(概数)
厚生労働省によると、2025年度の新型コロナウイルス感染症による死亡者数は約21,500人でした。
さらに注目すべきなのは、亡くなられた方の約98%が65歳以上、約81%が80歳以上という点です。
若い方では軽い風邪のような症状で済むことも多くなりましたが、高齢者にとっては、今でも決して軽視できない感染症なのです。
また、新型コロナウイルスはインフルエンザと異なり、冬だけでなく夏にも感染が拡大することがあります。
3.高齢者では、インフルエンザも新型コロナも重症化しやすくなります
インフルエンザも新型コロナウイルス感染症も、若い方では比較的軽症で済むことがあります。
しかし、高齢になると免疫機能が低下し、感染症に対する抵抗力が弱くなります。
さらに、心臓や肺などの臓器の予備能力も低下するため、感染をきっかけに肺炎や呼吸不全、心不全などを起こす危険性が高くなります。
年齢による重症化リスクの違い
| 年齢 | インフルエンザ | 新型コロナ |
|---|---|---|
| 20~40歳代 | 健康な方では重症化は比較的少ない | 重症化・死亡は比較的少ない |
| 50~64歳 | 持病がある場合は注意が必要 | 年齢とともに重症化リスクが上昇 |
| 65~79歳 | 肺炎や入院のリスクが高まる | 入院・死亡リスクが明らかに高まる |
| 80歳以上 | 肺炎や全身状態の悪化に特に注意 | 入院・死亡の負担が特に大きい |
厚生労働省が公表している2026年の新型コロナウイルス感染症の入院患者数をみても、80歳以上の入院患者が多い傾向にあります。
また、インフルエンザでも高齢者は肺炎などの合併症を起こしやすく、重症化すると入院が必要になることがあります。
特に心臓病のある方では、感染に伴う発熱や炎症、脱水などが心臓への負担となり、心不全の悪化や心血管イベントの引き金となる場合があります。
高齢者にとって感染症の予防は、肺炎だけでなく、心臓や全身の健康を守ることにもつながります。
参考:厚生労働省「令和8年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策Q&A」
4.ワクチンには、入院や死亡を防ぐ効果が期待できます
ワクチンを接種しても、インフルエンザや新型コロナウイルスへの感染を完全に防ぐことはできません。
しかし、ワクチンの重要な目的は、感染した場合の重症化や入院、死亡を減らすことにあります。
新型コロナワクチンの効果
厚生労働省が紹介している国内外の研究では、2024~2026年の各シーズンに使用されたワクチンについて、入院を予防する効果が報告されています。
新型コロナワクチンの入院予防効果(研究例)63.2%
国内研究・60歳以上(2024/25シーズン)53%
それぞれの研究における比較対象群に対する相対的な入院リスク低減率。異なる研究結果であり、直接比較はできません。
例えば、入院予防効果が約60%というのは、比較対象となる未接種群に比べ、接種群では入院するリスクが相対的に約60%低かったという意味です。
もちろん、実際の効果は年齢、健康状態、流行しているウイルスの種類、接種からの経過時間などによって変わります。
インフルエンザワクチンの効果
インフルエンザワクチンについても、発症予防に加えて重症化予防効果が期待されています。
厚生労働省が紹介する国内研究では、高齢者施設に入所する65歳以上の方において、発病を34~55%、死亡を82%抑制したと報告されています。
これは過去の特定の研究結果であり、毎年すべての方に同じ効果が得られるという意味ではありませんが、高齢者が接種を検討する重要な根拠の一つです。
5.当院では2種類の新型コロナワクチンを接種できます
さくらもみじクリニックでは、新型コロナワクチンとして、次の2種類をご用意しています。
① コミナティ(ファイザー社)
mRNAワクチン
ウイルスの一部のタンパク質を体内でつくるための設計情報(mRNA)を利用して、免疫を獲得するワクチンです。国内外で広く使用されてきたタイプです。
② ヌバキソビッド(武田薬品工業)
組換えタンパクワクチン
ウイルスのタンパク質をあらかじめ製造し、免疫反応を高める成分(アジュバント)と組み合わせたワクチンです。mRNAを使用しないタイプで、従来からの製造方法のワクチンを希望される方の選択肢となります。
いずれも新型コロナウイルスに対する免疫を獲得し、重症化を予防することを目的としています。
ワクチンの種類によって接種対象年齢や注意事項が異なります。また、接種後には注射部位の痛み、発熱、倦怠感などが生じることがあり、まれに重いアレルギー反応などが起こることもあります。
どちらのワクチンを選ぶか迷われる場合は、これまでの接種歴や副反応、持病などを踏まえてご相談ください。
参考:PMDA コミナティ添付文書/PMDA ヌバキソビッド添付文書
6.特にこのような方には接種をご検討いただきたいと考えています
当院では、特に次のような方に、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの接種をご検討いただきたいと考えています。
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65歳以上の高齢者、特に75歳以上の方
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心不全、狭心症、心筋梗塞などの心疾患がある方
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COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、慢性の呼吸器疾患がある方
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糖尿病、慢性腎臓病などの持病がある方
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免疫機能が低下している方
高齢の方や持病のある方では、感染症そのものだけでなく、感染をきっかけとして持病が悪化することも心配されます。
2026年9月には、日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3学会からも、高齢者における新型コロナの重症化・死亡リスクが依然として高いことを踏まえ、2026年度の定期接種を強く推奨する見解が発表されています。
7.最後に ~感染症から健康を守るために~
インフルエンザも新型コロナウイルス感染症も、健康な若い方にとっては軽症で済むことが少なくありません。
しかし、高齢者や持病のある方にとっては、今も命に関わる可能性のある感染症です。
ワクチン接種には副反応などの注意点もありますが、特に重症化リスクの高い方では、接種によって得られる利益が期待できます。
「新型コロナはもう心配しなくてよい病気」と考えるのではなく、ご自身の年齢や健康状態に応じて、ワクチン接種の必要性を判断していただきたいと思います。
さくらもみじクリニックでは、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの定期接種・任意接種を行っています。
接種をご希望の方、接種するか迷われている方は、お気軽にご相談ください。
参考資料・文献
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厚生労働省「新型コロナワクチンについて」 — 定期接種、死亡統計、年齢別の疾病負荷。
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厚生労働省「令和8年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策Q&A」 — インフルエンザ・新型コロナの重症化とワクチン効果。
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厚生労働省「令和7年度秋冬の定期接種の評価について(小括)」 — 2025/26シーズンの新型コロナワクチンの有効性。
